2013年1月21日月曜日

アメリカン・ビューティーつながりで映画『普通の人々』(Ordinary People)を見ました



アメリカン・ビューティー』のコメンタリーでも映画『普通の人々を参考にしたと述べられていたので、この映画がずっと気になっていました。

やっとこの映画を見てみました。

映画の中で事件や何かが起こるわけでもないのですが、飽きることなくじっくりと見入ってしまいました。
そして、この映画と『アメリカン・ビューティー』の共通点も多く見つけました。

世間体を気にする妻、家族をコントロールできない夫、問題を抱える子供、ジャニーンとコンラッドが学校から歩いて帰るシーン...などなど。

映画はすでにある事件が起きた後の家族の様子を描いています。

ある事件と言うのは、その家族の長男バックと次男コンラッドの2人がボートの転覆事故にあってしまい、長男バックが亡くなってしまうという悲劇です。
助かった次男コンラッドは自分だけが生き延びたことで精神を病んでしまい自殺未遂を起こしてしまいますが生き延びます。
そんな悲しい事件が起こった後の家族の様子を描いています。

夫そしてコンラッドの父であるカルビン(キーファー・サザーランドの父であるドナルド・サザーランドが演じています!!)は優しく、息子コンラッドの精神が安定していないのを気づかってなんとか助けようとしています。しかし、妻ベスと息子コンラッドの関係に違和感があるのをはっきりと理解はしていません。

コンラッドは事件の後、普通に生活を送ろうとするが、自分だけ助かってしまった罪悪感、家族や友人との関わり方、そしてもう自分が変わってしまったため元には戻れない生活に苦悩しています。そして精神科医に通い徐々に自分の気持ちと向き合っていきます。

妻そしてコンラッドの母であるベスは亡くなった長男バックを愛するがあまり、コンラッドに対して違和感のある接し方をしています。問題を深く話し合うことは避ける一方で、付き合いで友人のパーティーに参加はしたり、旅行にいったりと世間体を気にしています。


こんな家族を描いています。


『普通の人々』と検索すると、"家族崩壊を描いた話"と出てくるのですが、私はラストは"家族再生"を描いているのではと感じました。


コンラッドは精神科医の助けもありガールフレンドと接することによって最後は成長しているように見えました。


最後までなんでだろうと気になったことがあります。それは母ベスがコンラッドに対して愛情を示さないことです。これは映画の中でベスが長男べックの方を愛していたという描写がなされます。しかし、ベスがコンラッドを愛さない理由にはなりません。

自分なりに解釈したのは
・ベスはコンラッドが自殺未遂をしたり、学校の水泳部を辞めたり、精神科医に通ったりといったことでコンラッドが問題を起こすので世間体を気にするベスには自分の思うようにいかなく好きになれない。
・ベスは転覆事故が起きたときバックが亡くなりコンラッドだけが助かったことで無意識的にコンラッドを責めている。


ここで思うのは、大切な家族が亡くなったら現実はベスのようになってしまうのではないかということ。そこで、息子に死や家族と向き合ってつらい現実を受け入れて...というのは実際はとても難しい話で私がベスの立場だったらやりどころのない怒りや悲しみを誰かに向けたくなるのでは、とふと考えました。
最後は悲しみや現実と向き合いつつある父とコンラッドがお互いを理解しての抱擁で終わりますが、こう出来るのは稀なのではないかなと思いました。

昔の映画で特別な出来事が起こる映画ではないのですが、家族の人間関係を上手く映画いているので飽きることがありません。
機会があったら見てみて下さい。


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