このブログに移してからはメインが海外ドラマと映画になってしまったのですが、すこし幅を広げて少ないながらも洋書のレビューも書いていこうと思います。
さっそく、先に読み終わった本Jeannette Wallsの『
Half Broke Horses』についてのレビューです。
この本を読もうと思ったきっかけは、同じ著書が書いた彼女の自伝書の『
The Glass Castle: A Memoir』がかなり面白かったからです。(この本のレビューは
こちら)
『
The Glass Castle: A Memoir』は今までたくさんの洋書を途中で挫折している私が本当に面白いと思い最後まで読むのをやめられないくらい集中して読んだ本の1つです。ここ数年、実用書やビジネス書的な本以外でこれ以上に面白い本と思った本はありません。(ちなみにこの本は『
ガラスの城の子どもたち』という本で日本語にもなっています。)
前置きが長くなりましたがその著書が書いた『
Half Broke Horses』は著者のお母さんのお母さん、つまり著書のお祖母さんLily Smithの話です。
本の中に書かれていることは、母親に聞いてほとんど事実に基づいているそうですが、この本は一人称で書かれているため、感情や会話などはやはり著者の想像に基づいてるため小説というジャンルになっています。ちなみにLily Smithは著者が8才のときになくなったと最後に記載されてました。
この本では、著者のお祖母さんLilyが幼い頃の出来事、そして成長過程、その後娘と息子が生まれて最後に孫(著者)が生まれるまでを書いています。
まず読んでて感銘をうけるのはLilyのたくましさです。
例えば、たった15歳にして先生として教えるために馬にのり一人でほぼ1ヶ月かけて赴任先に旅をしたこと、教師の資格を得るために働きながら夜学校に通った事、生活を支えるために密造酒の販売、飛行機のレッスンを受ける事などなど。
困難な事があっても持ち前の頭の良さとハードワークさで乗り越えていきます。また自分の成し遂げたい事に向かってつらいことがあろうとも心は折れることなく突き進む強さが凄いのです。
個人的に好きな場面は、Lilyが教えていた学校の地域のモルモン教の大祝福師にLilyが学校で教えている内容にクレームがきたときに、それを突き返すところです。その人の意見にに従わないとストーカーのように家の前に立たれたり、しまいには部屋のドアを叩かれたりします。それに負けずに、Lilyは銃を突きつけてその大祝福師に向けて発砲して追い返すところです。
Lilyの思いっきりさと強さがわかると思います。
この本を読むと逆境に負けないLilyから勇気をもらえるし、こんな今みたいに恵まれていない時代に凄まじい困難を乗り越えた人がいると考えただけで自分の小さな問題なんかほんとちっぽけに思えます。Lilyの問題があってもそれに負けない強さに感心します。
また、Glass Castleを読んでいればさらに面白く読める箇所もありました。
例えば、Glass Castleは著者の小さい頃の出来事として初めに料理をしているときに服に日が燃え移ってしまったという事件からはじまります。Half Broke Hourseでも著者の母であるRosemaryが小さい頃に同じような出来事が起こっていた事がわかります。そしてこれはLilyの弟とおじいさんにも起こった事があるから受け継がれているんだね、なんて話しがなされているのです。
ここは思わずにやけてしまいました。
また、やはり著者の母であるRosemaryと著者の父Rexに関する記述は著者の感情が特別こもっている感じがして特に面白く読めました。
自分の道は自分で切り開く!そんなガッツをもらえる本です。
Glass Castleでもそうでしたが、この本にもたくさん教訓となる言葉がちりばめられています。小説だからとあなどれなく、実際本質をついている言葉がたくさんあるのです。
最後に、ネガティブな意見は書きたくないのですが、やはり著者が体験したことや実際に感じたことを書いた『
The Glass Castle: A Memoir』と比べると、私としてはやはり共感の出来具合が違うため、どうしても前作の方が好きかなと思ってしまいます。こちらはどちらかというと淡々としている印象がありましたが、前作は著者の気持ちが強い気持ちがつたわりこっちまでエモーショナルな感情がどっとこみ上げてきました。
また、Lilyは色々なところに移り住むのですが地名がたくさん出てくるのですがなんせ自分の知識が乏しいために地名がピンとこないことも多かったのが唯一自分の知識のなさに残念でした。
Glass Castleを読んで面白かった人はこらも是非読んでみてください。
ちなみにAmazonのこの本の日本語版の
ガラスの城の子どもたちの紹介部分で
"育児放棄(ネグレクト)に立ち向かったひとりの女性の告白"
とあるのですが、この説明はなんか違うかなという気がしました。
興味がある方は以前に書いた下のレビューをご覧ください。
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著者の子供時代から現在に至る体験を描いた「Glass Castle」を読みました