2019年9月18日水曜日

Netflix の「アンビリーバブル たった一つの真実」を見ました

世の中にドラマは沢山ありますが、ほとんどが、あー見ちゃったけどつまらなかったな、時間を返せ!と思うのですが、これは数少ない良いドラマの1つでした。みんな見て!と思うほどよく出来たドラマでした。以下はネタバレになるので、まだ見てない人はご注意を。

話は、マリーというレイプ被害を受けた少女が、その後警察からの被害の聞き取りで矛盾点があると指摘され、被害の報告は嘘だったと証言を撤回する。その後、他の地区で発生したレイプ被害がマリーが被害にあった時の状況と酷似しており、、、というもの。
被害にあった直後からの状況を描くマリーの話と、その3年後に2人の女性刑事が連続レイプの事件解決に取り組む話が並行して描かれてます。びっくりすることに、本当にあった出来事がベースになっているそう。

このドラマの何が良いかというと、被害者が陥る困難がリアルに丁寧に描かれてること。よく、性犯罪者は、被害にあった後も被害を受けるということをききますが、それがどういうことなのががよくわかります。
まず、被害直後に警察官がやってきて、大丈夫?とか声をかけるでもなく、淡々と被害の詳細をその場で聞き取りを開始します。この描写がみててずっしりきます。かなり恐ろしいことをされた直後に被害にあった場面を思い出さなくてはいけない。そして次に来たこの事件を担当する刑事にまた同じことを繰り返し言わなくてはいけない。次に病院に行って、病院の記録のためまた被害の状況を言わなくてないけない。そのあと、警察署でまた被害の状況をはなしたあとに、また紙に自分の言葉で被害の状況を書けと言われる。
それを言うたびに被害者は自分の身に起きた恐ろしい出来事を思い出さなくてはいけないわけで、みててつらくなりました。

このシーンと対照的に描かれるのが、女性刑事のデュバルが事件の現場に駆けつけてレイプ被害女性に聞き取りをする場面です。
被害者を気遣って、質問する際も事件のすぐに聞くほうが情報が正確だという研究があるから、説明をきちんとする。証拠は、事件の現場、犯人の体、そして被害者の体に残るから、証拠を集めて良いかと説明した上で収集する。話してくれた被害者への感謝も伝え、病院にもつきそう。被害者への配慮が見られます。
対応する刑事によって、被害者が何重にも苦しめられる様子がわかります。

また、被害者が受ける困難以外にも、いかに少しのことがきっかけで、捜査が簡単に間違った方向にいってしまうがも描かれてます。
今回は被害にあったマリーが買い物に行くときに、ベットのシーツが前のものがいい!と言い張ったり、メソメソ悲しい様子を見せてないことから、義理母たちがおかしいと思うようになって、、。そして、マリーが過去に虐待を受けていたということも含め、刑事はバイアスがかかった目で嘘をついているということを前提で話を進めてしまいます。そして、なんとマリーは嘘をついたことで、処罰されてしまいます。話の中で出てくる弁護人に合わせると、だれも被害にあってないのに処罰されるケースは珍しいとのことでした。悪いことをした小娘を懲らしめてやろう的な意識が無意識的にあったのかもしれません。刑事のしたことは、レイプ犯と同じくらい罪なことですね。

日本でも、よく痴漢をふくむ性犯罪のことになると、冤罪とか合意があったはずという話になってしまうけど、なんのメリットがあって嘘をつく人がいるのという感じです?本当にあったと考えるほうが自然だよねと思ってしまいます。

それにしても、捜査をする女性2人の刑事がかっこいい。周りのチームが最高にいいです。このチームを見てると、普通のドラマでメインの役どころの白人男性がでてきません。チームの中心はこの女性2人の刑事だし、インターンの人はインド系のような風貌だし、アジア系っぽい女性、科学捜査の人にはBreaking badでウォルターに殺されてしまうKeazy8役の人が出てきたり。マイノリティーで構成されてるようです。これも製作した人が意図的にしたのかな?

犯人が狡猾で決定的な証拠がなく、残ったものも行き詰まりに見える中、犯人を見つけ出すのは見てて本当にすっきりします。

それから、番組が始まる前に、Warningが出てきますが、被害者が思い出す時に一瞬出てくる描写がリアルでそれだけでも恐怖なので、過去にトラウマとかある人やそういうのが苦手な人は、気をつけた方が良いかもです。ただ、性犯罪の被害者が陥る困難がわかる上質なドラマなので、多くの人に見てもらいたいと思いました。



0 件のコメント:

コメントを投稿